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カウンセリングルームセンター南ロゴ 境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害についての説明です。

■見出し
1.ボーダーラインという言葉
2.パーソナリティ障害の大分類
3.パーソナリティ障害の中の境界性パーソナリティ障害の位置付け
4.パーソナリティ障害の下位分類のマトリックス配置(私案)
5.境界性パーソナリティ障害の診断基準
6.境界性パーソナリティ障害の診断基準のマトリックス配置(私案)
7.境界性パーソナリティ障害の特徴

■内容

1.ボーダーラインという言葉

ボーダーラインという言葉は、時代と領域によって異なり、多義的に用いられています。
  • 境界例:
    最も古く「精神病」と「神経症」の間という意味
  • 境界水準:
    医療領域で用いられる病態のレベルで「精神病」と「神経症」の中間の意味を越えて独自性を認められるようになった
  • 境界パーソナリティ構造:
    心理領域で用いられるパーソナリティの3類型の1つ。境界水準が状態を示す言葉である一方、境界パーソナリティ構造は特性を示す言葉である
  • 境界性パーソナリティ障害:
    9つの診断基準項目の内5つを満たした場合につけられる診断名

2.パーソナリティ障害の大分類

  • A群:奇妙
    自他の存在が混ざることが怖い、自他の境界がしっかりしていないタイプ

  • B群:劇的
    自他の存在は葛藤的で、自分一人では自己が明確にできず、他者を巻き込んで自己を確立しようとするタイプ

  • C群:不安
    自他が異なることが怖い、自他の境界を取り除いて他者と一体化したいタイプ

3.パーソナリティ障害の中の境界性パーソナリティ障害の位置付け

DSM-W-TRICD-10
A群妄想性妄想性
スキゾイド失調質
失調型非社会性
B群反社会性情緒不安定性
境界性 - 衝動型
演技性 - 境界型
自己愛性演技性
C群回避性強迫性
依存性不安性
強迫性依存性

4.パーソナリティ障害の下位分類のマトリックス配置(私案)

A群B群C群
男性多妄想性反社会性強迫性
スキゾイド自己愛性(男性多)
境界性(女性多)
回避性
女性多失調型演技性依存性


5.境界性パーソナリティ障害の診断基準

@DSM-W-TR(2008年 新訂版第8刷 p237)

境界性パーソナリティ障害 Borderline Personality Disorder(301.83)

対人関係、自己像、感情などの不安定性および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる、以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
  1. (1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力※基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと

  2. (2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式

  3. (3)同一性障害:著名で持続的な不安定な自己像または自己感

  4. (4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)※基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと

  5. (5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し

  6. (6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)

  7. (7)慢性的な空虚感

  8. (8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかを繰り返す)

  9. (9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状

AICD-10(2008年 新訂版第6刷 p214)

情緒不安定性パーソナリティ障害 Emotionally unstable personality disorder(F60.3)

感情の不安定さを伴い、結果を考慮せず衝動に基づいて行動する傾向が著しいパーソナリティ障害。あらかじめ計画を立てる能力にきわめて乏しく、強い怒りが突発し、しばしば暴力あるいは「行動爆発」にいたることがある。これらは衝動行為が他人に非難されたり、じゃまされたりすると容易に促進される。このパーソナリティ障害の2つの異なる型が特定されるが、両者ともこの衝動性と自己統制の欠如という一般的なテーマを共有している。
  • 衝動型 impulsive type(F60.30)
    支配的な特徴は情緒の不安定と衝動統制の欠如である。暴力あるいは脅し行為が、とくに他人に批判された場合、突発するのがふつうである。

  • 境界型 borderline type(F60.31)
    情緒不安定ないくつかの特徴が存在し、それに加え、患者自身の自己像、目的、および内的な選択(性的なものも含む)がしばしば不明瞭であったり混乱したりしている。
    通常絶えず空虚感がある。激しく不安定な対人関係に入り込んでいく傾向のために、感情的な危機が繰り返され、見捨てられることを避けるための過度な努力と連続する自殺の脅しや自傷行為を伴うことがある(しかしこれらは明らかな促進因子なしでも起こりうる)。

6.境界性パーソナリティ障害の診断基準のマトリックス配置(私案)

内的不安定外的
慢性的空虚感不安定な感情怒りの制御困難
解離性症状
妄想様観念
不安定な自己像衝動性(性的逸脱・乱費乱用・むちゃ食い・危険な行為)
見捨てられ不安(とその回避努力)不安定な対人関係自殺のそぶり・脅し・自傷行為

7.境界性パーソナリティ障害の特徴

見捨てられ不安

見捨てられ不安を感じる瞬間とは・・・
  • 背を向けられた時
  • 手を離された時
  • ドアを閉められた時
  • 電話を切られた時 など
なんとか見捨てられないように努力する方法
  • 注目を集める、仲間を集める
  • 媚びる、しがみつく
  • 自ら先に関係を断ち切る など
このような見捨てられ不安は、対象恒常性に障害があるためと考えられることがあります。

対象恒常性の障害

対象恒常性とは、対象(人や物)は自分が見ていない間でも比較的一定であり続けるという感覚や信念のことです。対象恒常性が獲得されている場合は、他者は良い面と悪い面を持っていることの両方を考慮でき、例えば機嫌の悪い人に対して「あの人は普段は良い人だけれど、今日は機嫌が悪いのだな」と思うことができます。一方、対象恒常性に障害があると考えられる人は、例えば機嫌の悪い人に会うと「昨日までは良い人だったが、急に嫌な人に変わってしまった」と感じてしまいます。また、そのように変わってしまった人については、「よくわからない不気味な人」となり「敵か味方かわからない」ために、白黒をはっきりしてほしくなってしまいます。このような場合、相手と自分に対してスプリッティングということが生じていることが多く、また、白黒をつけるためにアクティング・アウトということが生じやすいです。

対象のスプリッティング〜理想化と脱価値化〜

スプリッティングとは分割という意味で、ほとんどの場合は「善」と「悪」に分かれます。境界性パーソナリティ障害の人にとって、対象(他者)とは、善なる存在か悪なる存在かの二つに一つであり、それらを同時に認知することはなかなか難しいのです。そのため、完全に善なる存在の人とみなされた他者に対しては理想化が起こり、悪なる存在とみなされた他者に対してはこき下ろし(卑下する)が行われます。しかし、理想化したとしても、人間とは不完全なものなので、必ず欠点が目につき、その瞬間に善なる存在は悪なる存在になってしまったと感じられ、手のひらを返したようにこき下ろしてしまう(これを脱価値化という)ということを繰り返してしまいます。

自己のスプリッティング〜投影同一視〜

対象のみならず、自己に関してもスプリッティングは生じます。後に挙げる悉無律思考(しつむりつしこう:全か無か・白か黒か・100か0か)ということも関係しますが、生きていくためには自分は完全に善なる存在でいなくてはならず、自分の中にいわゆる悪い気持ちが生じることが許せません。例えば「ずるさ」「汚さ」「醜さ」「過ち」「非」「欠点」「弱さ」などを自分自身に感じてしまうと、生きていくことが苦しくなりリストカットを行ってしまったりします。こうした悪い気持ちを自分の中から排除するために、その気持ちはあたかも他者が持っているかのように錯覚することで自分の身を守る方法を投影同一視と言います。噛み砕いて言えば、自分の中の気持ちを相手の中に投げ入れるということです。例えば、イライラしている場合、相手に向かって「イライラしないでよ」と言ったりします。相手には心当たりがないけれど、もしも「イライラしているように見えた?ごめん」と気遣って謝れば、多少なりとも自分のイライラは解消されます。また、「イライラなんてしてないよ!」と言い返されたら、「ほらやっぱりイライラしてるじゃん」と自分の指摘が正しかったという形になるので、それでも自分のイライラは多少なりとも解消されます。つまり、自分の気持ちを一人で解消できないために、他者を巻き込んで解消するというのが投影同一視なのです。

アクティング・アウト

アクティング・アウトとは、行動化と訳されます。広い意味では言葉にできない気持ちを行動で解消しようとするといえます。例えば、行きたくないという気持ちをストレートに表現できない場合、遅刻をしたりキャンセルをしたりします。本人はそうした行為が気持ちの表れであるということをその時に意識化することは難しいものです。中でも代表的な危険な行為がリストカットです。

リストカット・アームカット

手首や腕を刃物等で傷つける行為です。切る自己と切られる自己が同一であるため、スプリッティングが関係していると考えられます。自分を罰するという意味を持つ一方、「私が私を傷つけるのはあなた達のせい」と他者に見せつけるという意味がある場合も多く、リストカットが象徴する心情は葛藤に溢れ、なかなか1つには決め難いものです。覚醒を目的とすることも解離を目的とすることもあり、また、注目されたい一方で厭世感による場合もあり、正反対の意味を持つ場合も少なくありません。リストカットによって、心配される価値のある自分と迷惑をかけるダメな自分という2つの自己像を行ったりきたりもします。いずれの場合も極端で、自分は生きていていい存在(善)なのか、死んだ方がいい存在(悪)なのかという間で揺れ動いています。常習化すると、「醜い私は傷つくべきである」と「傷ついた私は醜い」という悪循環となり、自分で止めることは難しくなります。
代替案は、ゴムバンドを手首につけてパチンと痛みを与える方法、氷を握って痛みを与える方法などがあります(赤いマジックで線を引くという方法については、代替的な痛みが伴わないために効果は薄いと思われます)。自力でリストカットをやめようと思うならば、以下の言葉を覚えて繰り返し頭の中で唱えるとよいかもしれません(私案)。
  • 私の心の傷は体の傷に置き換えても癒えない
  • 私の体が傷ついても私の価値は変わらない
  • 私の体が傷ついても私の罪は償えない
  • 私の体を傷つけても私以外は傷つかない
  • 私の体は私だけのもの(だけど)
  • 私の命とはいえ私が殺していいものではない
リストカットは、周りの者の気持ちが動かされるので対人操作性が強い行為であるともいえます。

対人操作性

意図して他人を操るという意味ではなく、パーソナリティ障害者特有の言動によって他者が動かされてしまうことを対人操作性と言います。一般的な人は、善人かつ弱者に対して「なんとかしてあげたい」という気持ちがわくものですが、境界性パーソナリティ障害者に接するとこうした気持ちが特にわきやすいです。それは、見捨てられ不安によって媚びたりしがみつかれたりするし、悪を切り離した完全に良い人のように見えるし、リストカットによって大変傷ついていたりするから、「自分が助けてあげなくてはならない」という気持ちが生じやすいからです。そうすると、パーソナリティ障害者のかわりに様々な行動を肩代わりして行うこととなります。

自己同一性の障害

自己同一性とは、アイデンティティとも言われ、噛み砕いて言えば自分とは何者かという確信のことです。境界性パーソナリティ障害者は、この自己同一性に障害がある場合が多く、最たる者は「明日の自分がどうなっているかわからない」という感覚を持ちます。また、自分のやりたいことや自分の気持ちがわからないと表現し、自分の行動に自信が持てず、相手に対しての態度も一貫しません。

悉無律思考(全か無か・善か悪か・白か黒か・100か0か)

「しつむりつしこう」と読む、二極化した思考のことです。そうした中間性を苦手とする境界性パーソナリティ障害、その前身とも言える「境界例」という概念が、いわゆる旧概念である「精神病」と「神経症」の中間、グレーゾーンであるということはなんとも皮肉であると言えます。境界性パーソナリティ障害者は、病気なのか健常なのかという中間にいることが非常に耐えがたいために、病気を前面に出す方もいれば、病気ではないと反発する方もいます。

カウンセリングルームセンター南では、境界性パーソナリティ障害の当事者および周囲の方のご相談を承ります。通院されている場合、診断名が告げられている場合などは、主治医にカウンセリングを受けても大丈夫な状態かどうか相談の上、ご予約をお取りください。

本人がカウンセリングを受ける場合、状態が比較的安定していれば、おそらく主治医からは「カウンセリングを受けるも受けないも本人の自由」と言われますが、「あまり期待せずに」「話を深めないように」「過去を掘り下げないように」等といったアドバイスをされることが多いと思います。その辺も含めて、カウンセリングを行うことが適切な状態かどうか判断させていただきます。

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